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walking along my tracks makes me a little lonesome

秋になると思い出すことがある。
キャンパスの木々が紅く染まった頃に聴いた
マルティヌーのピアノ五重奏曲第2番のことを。

その前からも音楽は大好きだったけれど
この曲を聴いて初めて音楽に泣いた。
さほどメローな旋律ではないし
その時期悲しい思い出があったわけでもなく
ただ、
音の流れと私の心の流れが
反応してしまったような、
そんな出来事。

センチメンタルな感情は全くなく
単なる高揚感だったと思う。
否、至高感、といったほうがいいような気もする。
いずれにしても、私はマルティヌー作曲のCDを買い集め
上野の音楽資料室にいって難しい楽譜を眺め
そういった足どりの積み重ねで
私の美学の礎が形成されていった、と思う。

--

小学生の頃、ピアノの先生に
「あなたはサティとか好きなんじゃないかしら」と、
エリック・サティの音楽が入ったテープをもらったり
レッスンの課題曲にしてもらった。

サティは面白かった。
シンプルでお茶目な音楽で難しいところがなかったから。
サティはフランスの作曲家だったので
「きっと私はフランス系の音楽が好きなのかしら」
と思いながら中学に入り
ラベルとかドビュッシーとかフランスの作曲家に
興味を持ち始めて追ってみたり。

当然その先にはフランス六人組という、
一風変わった作曲家集団の存在があって
私は六人組に夢中になった。
六人組の音楽だけでなくモンパルナスに集まる
キキやマン・レイ、マルセル・デュシャン、そしてジャンコクトー
といった奇妙で素敵なアートの息吹も知ることができた。

私がまだセーラー服を着ていた頃、
池袋西武の一番上に
「スタジオ200」
という実験的なスペースがあり
マン・レイや、デュシャン、ルネ・クレールの
サイレント映画会をたまに上映していた。
上映時期には何度も足を運んだ。
小難しいことはよくわからなかったけれど
何よりモデルのキキが素敵だったし
ピカビアの美術装置も愛嬌があってユニークだった。

そんな風だったので私は周りの学友とはちょっと話が合わず、
でも、異端の立ち位置というのも余り好みでもないので
傍らでニューウェーブとかニューロマンティック系の音楽なども
サラリと聴きながら周りと話しをあわせていたこともあった。

そういう風に「合わせよう」と意識的に聴いていた音楽からでも
結局はアインシュテュルツェンデ・ノイバウデンとか
ホルガー・ヒラーとか
そういうジャーマン・ニューウェイブ/ノイズの方向に首を突っ込んだり。

そんなわけで、
自分の好きなものを共有できる他人がそばにいなかったので
学生時代、特に中学~高校のときの学校の記憶が
全くない。
部活もやってたし休みになれば旅行に行った友人もいたけれど
それでも思い出すことができるのは
一人で
レコード屋に行ったり
音楽資料室に行ったり
オンドマルトノのコンサートに行ったり
・・・そんなこと。

学校の先生の名前や
自分が何組みだったのかとか
そういう記憶が、
私には無い。

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